もし木を切り倒すのに6時間与えられたら、私は最初の4時間を斧を研ぐのに費やすだろう。
If I had six hours to chop down a tree, I’d spend the first four hours sharpening the axe.
(エイブラハム・リンカーン)
サクッと紹介
こちらは、第16代アメリカ合衆国大統領であるエイブラハム・リンカーンの名言です。
リンカーンは、「奴隷解放宣言」をはじめとした数多くの功績から「偉大な解放者」とも呼ばれており、アメリカ歴代大統領の中でも特に尊敬すべき人物として名が挙がることが多いです。
また、リンカーンといえば「ゲティスバーグ演説」で放った「人民の人民による人民のための政治」というフレーズも有名で、人々の心に訴えかける言葉をたくさん残しています。
しっかり考察
斧を研ぐのは未来への投資
物事に取りかかる前に大事なのは、まず入念に準備をすることです。
目の前の木にいきなり切りかかる前に、まずは手にした斧がサビついていないか確認し、切れ味を最大限高めてから切り始める。
しっかり時間をかけて準備をすることが、遠回りに見えて実は一番の近道なのです。
もしかしたら、研いでいない斧でも木を切り倒せるかもしれません。
ですが、先に斧を研いでから、残りのわずかな時間で木を切り倒すほうが、圧倒的に疲れないでしょう。
リンカーンの言葉は、最小限の労力で最大限の成果を出すということを教えてくれています。
また、「木を切り倒す」というのは、果たして目の前の1本の木のことだけでしょうか。
もしこの先、さらにたくさんの木を切り倒すように頼まれたら、もっと太い木を切り倒さなければならなくなったら…
今後のあらゆる状況を想定するなら、今は時間をかけてでも斧をしっかり研いでおくべきなのです。
獣も来たるべき時に備えて、常に己の牙を研いでいます。
あなたも未来への投資だと思って、常にその手の斧を研いでおきましょう。
上手な手の抜き方
6時間というのはとても長い時間です。
仮に1本の木を切り倒すとして、果たして6時間もかかるでしょうか?
また、斧を研ぐのに果たして4時間も必要でしょうか?
もし最初の1時間で木を切り倒してしまえば、残りの時間でさらに別の仕事を頼まれるかもしれません。
与えられた仕事にまじめに取り組むことも大切ですが、ただ黙々とこなし続けていると休む暇がなくなってしまいます。
仮に木を切り倒すことを生業にするなら、真剣に木と向き合って切り倒す技術を極めることや体力をつけることが必要になるでしょう。
しかしながら、リンカーンは木こりではありません。
ひょっとしたら、リンカーンは与えられた時間をあえてフルに使い、時には上手に手を抜くことも大切なのだと教えてくれているのかもしれません。
自分なりの答えを考える
「もし木を切り倒すのに6時間与えられたら?」
リンカーンの答えが、必ずしも正解というわけではないと思います。
もし木の切り方がわからない人なら、まずは最初の1時間は木の切り方を調べるのに費やした方が良いかもしれません。
斧よりももっと効率的な道具を探すのも良いでしょうし、あるいは知り合いの木こりを頼んで代わりに切ってもらうのもアリです。
もっと言えば、なぜ木を切り倒す必要があるのかを調べて、切り倒す以外の解決策を考えるというアプローチもあるかもしれません。
重要なのは、自分なりの答えを考えることなのです。
「もし木を切り倒すのに6時間与えられたら、あなたならどうしますか?」
ざっくりまとめ
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未来への投資として常に斧は研いでおこう。
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上手に手を抜くことも時には大切。
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重要なのは自分なりの答えを考えること。
参考
『リンカーン演説集』(岩波文庫)